アルフレッド ランシング: エンデュアランス号漂流
南極横断の冒険に出た船乗りたちは流氷に阻まれて大陸に到達できず、しかも船は沈没、流氷の上での生活を強いられる。そこから如何にして祖国の地へ戻るのか……これはとてつもない冒険譚である。よく安いドラマに描かれるドロドロした生き残り劇は皆無。ただ、すべての人物が真摯に、それぞれの仕事をまっとうし、最後には生還する。と、一言で書いてしまってはいけない。現代人が忘れている『人間という生き物の本質と価値』が解る一冊。人間ってすごいぞ!! (****)
こうの 史代: 夕凪の街桜の国
評価欄は星五つですが、本当は50個あげても足りないくらいの作品。いろいろ書くのは先入観を持たせてしまうので何も書きません。映画にもなりますが、これはまず間違いなく、『読んでから観る』べきです。人間が生きている意味・生きていく意味が、ほんの少し理解できます。でもそのほんの少しの理解は、普通に生活していたら絶対に遭遇できない気持ちです。貴重な感動を与えてくれます。こうの史代さん、ありがとう! (*****)
スティーヴン・ウォーカー: カウントダウン・ヒロシマ
『ヒロシマ』とカナで書く時、そこに起きた事件が何なのかを知らない日本人は居ないと思う。しかし、知り方は千差万別で、受け取り方もそれぞれだ。はだしのゲン等のアニメで知ったという若い人たちも多いと思う。でも、『知るべき事』は、そこに起きた悲惨な状況ではなくて、『なぜ起きたのか』ではないのか。実在の登場人物たちの、実際にあった人間ドラマを通して、人間という生き物に託されたものが何なのかを、僕は真剣に考えさせられた。 (*****)
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