さて、もう一本の方ですが(笑)、羽田健太郎氏の急逝に涙したときに、もう一度観ようと思っていたこの作品です。
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』
これ、もちろん羽田氏のスコアは素晴らしいし、作品もものすごくいいんですよ。アニメだからっていい加減に見ていたらドラマが追いかけられなくなるくらい、登場キャラたちの心の揺れ動きが緻密に描かれています。これ、SFアニメの体裁を利用していますけれど、本質はメロドラマで、しかも三角関係が描かれます。ドロドロっちゃードロドロなんですけど(笑)、そこは二時間にお話をまとめなくてはならないので、見ていてツラくなるような場面はありません。
で、本当は羽田氏の音楽の素晴らしさを称えようと思って借りたんですが、「いや、ちょっと待て」と(笑)。
とんでもない財産を忘れていました。主題歌です。加藤和彦のメロディがとてつもなく素晴らしい!大宇宙のスーパー・アイドル『リン・ミンメイ』がクライマックスで宇宙に声をとどろかせて歌うその歌は……
『愛・おぼえていますか』
これ、とんでもないほどに名曲ですっ!!
この曲にかぶせてラストの戦闘シーンが描かれるんですが、そこに描かれる戦いは、一度結ばれた和平が覆されたところから始まるんです。普通に考えたらこの戦いはどちらかが勝って(まぁ普通なら主人公たちのいる側ですよね)終わるわけじゃないですか。ところがこの映画は違います。この一曲を聞いている間にかつての人間性(「文化」)を忘れていた敵たちが、それらを取り戻そうと自我に目覚めます。そして主人公側に寝返り、文化を無きものにしようとする敵の大将めがけての総攻撃に転じるんです。その瞬間の感動たるや!!
リン・ミンメイはその嬉しさと、そしてそこに至る様々な出会いと愛と別れとに涙を浮かべ、それでも泣くのをこらえて歌いきります。
見事なるプロ根性!!
そしてこの曲が流れている間には、戦いの中で出会った男と女のドラマや、主人公たちの愛の完成と、様々なものを同時進行で見事に描ききります。物凄い演出です。
しかも観客として素直に感動できて喜べる最後のやりとり。
「結局、あの歌はなんだったのかしらね」
「流行歌よ……ただの流行歌……何万年も前に流行った、当たり前の、ラブソング……」
そうです。当たり前のラブソングなんです。なのにこれだけの感動を呼べる。なぜか。
歌詞のラストで延々繰り返されるリフレイン……
『もう ひとりぼっちじゃない あなたがいるから』
これですね!すべてはここに集約されています。これが愛です!(笑)
この歌は何度聴いても聞き飽きませんよ、ほんとに。最強のラブソングです。聴いた事が無いという方はメールください。なんとかしましょう(いーのかそんなこと書いて?! 笑)。
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