盟友GINDAMA氏は娘連れで出かけたライブの真っ最中にこの発表を聞いたはずだが、岬の受けるショックが心配だからか、連絡が無い。
一方、もうひとりの盟友Tommyは、昨晩のパープルセッション終了時刻にケータイにメールを送ってきた。
『美勇伝、解散』
キャンディーズの頃の解散とは種類が違う。解散してもハロプロはあるわけで、三人の活躍も見ていけるとは思う。しかし、この三人のユニットとしての活動が見られなくなるのは本気で寂しい。
モーニング娘。の10年の歴史からすれば、美勇伝は4年に満たない活動期間。しかも、一般的にユニットとしての知名度は低い。
岬が見てきた中での彼女たち三人の活動も、確かに華やかな表舞台的なものは無い。無いが、だから彼女たちが三流だったかというとそんなことはまったく無い。
なっちや後藤(ゴマキ)というモー娘の代表顔二人がいる中に四期で入り、細々と、しかし着実に実力をつけ、やがて頭角を現し、ピースでセンターを奪取したところから新たな顔として卒業まで娘たちを牽引し続けてきた『石川梨華』。彼女がリーダーを任され、新人二人を引っ張ってきたのが美勇伝だ。
途中、波乱のドラマがあった。二人とは違いすぎる実力と経験値。ユニットに与えられた「美しく勇ましい日本女性像を次世代に伝えてゆく」という使命……二人に差し伸べる手も叱責も空回りに終わること数え切れず。一時期、リーダーとしての悩みはその活動の中にも表出していた。勘の鋭いファンたちは心配した……
だが、苦しむ石川梨華にここ一番の助言が。送ったのは誰あろう『つんく』。いい言葉をかけている。
「付いてくるか気にせずに前を走っていけばいい。ふたりをその後姿を見てついていくから」
親心無くしてこれが言えようか。見事な助言である。
そこからの美勇伝のふっ切れたパフォーマンスは物凄かった。石川梨華は彼女の持つすべてを出し切って歌い、踊った。そして二人は……
『三好絵梨香』は北海道から出てきた。モー娘のなっちとカオリンからスタートした道産子シリーズの末裔で(笑)、期待通りの方言を吐く。が、正直始めの頃は単なる新人でしかなく、どんなキャラに転んでいいのか転び方も解らないド素人であった。
だが、なかなかキャラが見えてこない彼女に一大契機が。ラジオ放送で繰り出されるぶっ飛び発言の数々。特に初期の極めつけは『私、解体部だったんですよ』(笑)。
解体部
なんだそれはっ
『壊れた冷蔵庫とか電気製品とか拾ってきてみんなで解体するんです』……
ハァ
となるしかない。こんな発言がとめどもなく出てくる。
『コウモリ?私夜中に独りで公園散歩するんですけど、東京でもよく飛んでますよ。お友達ですから』
こんなワケの解らない側面がファンを増やしていったのは紛れも無い事実である。実を言うと岬はこのコの大ファンである(笑)。というより、三好がいなかったら岬は今ほど美勇伝を応援していなかったかもしれない。
さて、三人目はこのコ。『岡田 唯』。
大阪出身で、デビュー時はまだ17才だった。
考えてみれば面白い取り合わせだった。北海道と関西の新人を関東のリーダーがまとめていく……絶妙である。その絶妙さは三人のトークに活きてくる。実は年長の三好がさりげなく道産子言葉を避けようと標準語を使い始めると、年少の岡田が『あざ笑うがごとく』コテコテの関西弁でやっつけてしまう。やっつけられた三好はどうにか応酬しようとするが、いっぱいいっぱいの頭で漏らす言葉は紛れも無い道産子言葉。それをリーダーが納めようとするのだが、どちらかというと構ってほしくて間に割り込んでいるだけで、この三人のトークは『噛みあわず、落ちもなく』なままが新鮮で良かった。
そんな中、岡田のキャラはデビュー直後から爆発する。
年少にも関わらず、セクシー路線なのだ。オバカでセクシー。しかも関西弁。これは萌え心をくすぐる!マッチ売りの少女に扮し、泣きながら関西弁のイントネーションで「マッチ買ってくださぁあああぁぁあぃ」と食い下がるコントにはめちゃくちゃ笑わされた。
昨年ごろから美勇伝は変わった。
全員が弾けだした。
リーダーは全力疾走に入った。
二人は猛追した。
その結果、三人が三人とも、自分自身の在り方・キャラの活かし方・進み方が見えてきたのだろう。そのパフォーマンスの素晴らしさは昨年秋のモー娘との帯同ツアーでも発揮された。
美勇伝のデビューツアーに出向いた時、初々しく、ある意味粗雑でありながらも必死に頑張っている三人を見た後、GINDAMA氏と酒を飲みながら交わした言葉がこれ。
「よし。美勇伝は大丈夫」
この一言が言えたあの日の酒は本当に美味かった。
これから迎える解散の6月……僕らの胸にはどんな感慨が浮かぶのだろう……
ハロプロのユニットの中で、明確な形で『解散コンサート』が行われたものは過去に無い。自然消滅ばかりである。そこにどんな意味が込められているのか。三人にどんな進路が用意されているのか。しみじみとはしていられない。
うむ、解散コンサートが開かれるだけでも幸せなのかもしれない。
しかし、つんく♂のいうようにユニットとしての課題を成し遂げたと言えるのでしょうか?
ユニット乱立の弊害として、個々のユニットの色分けをすることが出来なくなったプロデューサー。
そのため、美勇伝という名前のコンセプトと実際の売り方では大きな差が現れた。
YOKOSO!JAPANプロジェクトの歌でありながら横文字満載の歌を歌わされ、結局外務省からはあっさり黙殺され、美しさをどうのこうの、というのは露出を増やしてストリップ的な見せ方をすると言う方向でしか表現できず、でありながら楽曲がセクシー路線に行くかと思えば子供だましの楽曲しか歌わせてもらえない。
岬さんが言うように、この3人に未来あれと思うのであれば、もう解散しかなかったと思います。
あとは、一日も早く駄プロデューサーと化しまともな歌詞の一つも書けなくなったつんく♂の支配から脱出すること。
そうすれば、まだまだ石川梨華には活躍の余地はあるはず。
投稿情報: Tommy | 2008年1 月27日 (日) 午後 08時16分
課題を成し遂げたユニットなんて後にも先にも『ミニモニ。』くらいしか無かったじゃん。他のユニットって特段課題なんて与えられてないし。『メロン』はファンも一緒になって歯を食いしばってるけど。
岬はまだ悲観的な見方はしてないんですよ。つんくも枯れてるとは思ってないし、美勇伝の楽曲が子供だましとも思ってないです。
もちろんいろんな不満はあるんだけどね。
ちなみに今回の解散のいちばんの理由は『石川梨華』の行動域を広げるために枷のひとつを外した……というふうに捉えています。『音楽ガッタス』がスタートしたしね。とはいえもし本当にそういう理由なら『音楽ガッタス』には梨華ちゃんは入れないでほしかったな(笑)。
投稿情報: 岬 | 2008年1 月27日 (日) 午後 10時44分