先月、この作品の『原作』について熱烈に書きましたが(6月10日『夕凪の街 桜の国』私設原作ガイドをご参照下さい)、その数日後、アロハな海賊さんとお会いした時に、半ば強引に原作本をプレゼントして参りました(笑)。
そのまた数日後、海賊さんからメールが。
「地下鉄の中吊りに試写会プレゼントって載ってたよ」
「出して!」
「自分でやって」
「いーから出して!」
「これ、ハガキで応募になってるよー」
「いーから出して!!」
と、これも強引にお願いしたところ、七夕の日に再度メールが……
「試写会当たったよー」
「………………………………マジっ?!(◎◎;)」(後はもう狂喜乱舞!!笑)
という事で行ってまいりました、九段会館。ここは昔、東京デザイナー学院の入学式で来た事がありますが、座席の前後間隔が狭く、ゆったりとはできないんですね。そんな中でも二階席ど真ん中の良席を偶然確保できました。最高の位置でした。
東京メトロ主催の試写会ですので始めにきれいな女性司会者の挨拶がありましたが(いろんな意味で偉いぞ東京メトロ!!今度『メトロに乗って』もレンタルで観るからね!!)、今回の当選率は16倍だったそうで、もうマジで海賊さんに大感謝です。この恩は一生忘れませんが帰りに一食おごったからチャラって事で(笑)。
さて、スペシャルゲストに佐々部監督が来て下さいました。日本中の試写会を行脚して回っているとの事。大きな宣伝費もかけられないうえ、夏休みという大作映画の出揃う中での劇場公開。当然苦戦を強いられるわけです。しかし……
原爆の落とされた夏なのです。二度も落とされた夏。そして終戦の夏……この時期にスクリーンにかけなくては意味が無いと……そう考えての決定だそうで、それは映画作者としての意地というより、大きなテーマを背負わされた作品に対する愛情と僕は感じました。テーマがより強く伝わりますからね。
で、作品に対しての感想なんですが……とにかく素晴らしかった!座席の狭さ・窮屈さも気にならないほどの二時間弱でした。以下、作品内容には触れない程度に書きます。
原作に詰まっている星の数ほどの伏線要素を、映画という媒体に合わせて取捨選択し、残された要素を確実に生かすために新しい構成と台詞と小道具を設け、初めてこの物語に触れる観客にも容易に世界観が理解できるように、まるで原作に対する参考書のように物語を噛み砕いて見せてくれます。
原作のファンがこれほどに多い作品。特に原作は漫画です。読んだ人たちはみんな、ビジュアルで全シーンを観ています。しかもページ数が少なく、そのぶん印象的な画(え)で埋められた作品です。こうした作品ですから、原作のディティールを少しでも変更すると、ファンの反発を食らうのではと慎重になるのが普通です。
しかしこの映画は、思い切った脚色と画面処理で原作の持ち味を確実に、完璧に伝え切っています。その演出は実に的確で、原作を読んだ人々が作品のテーマを理解するために独自に脳内補完しようと様々な思いを巡らす部分(特に『桜の国』編の終盤)を、ストレートに画面に出してきます。だから、『原作と違う』と感じてしまう細かな部分のすべてに、あとから確実な形で納得できるんです。
しかも、僕が物凄く驚かされたのは、『アレンジはされていても、そこに流れた映像は原作の語る道筋からは一歩もそれず、観終わったときに原作を読み終えた読後感とまったく同じ感情がわきあがってくる事実』。「原作を原作通り映像にするなんて意味がない」という映像作家の方々もよくいらっしゃいますが、原作通りか、もしくは物足りない原作をそれ以上のものにして出すくらいの技量を持ったうえで、冒険をしていただきたいもんです。そういう意味で物凄く良質なお手本といえる作品になっています。原作が放っている「オーラ」を極上に大事にしてくれた映画になっていて、こういう姿勢を『V3』にも活かして欲しいと東映に言いたくなってしまうくらい(笑)の劇的かつ感動的な映像作品でした。
麻生さんの儚げな演技……あまりにも見事な『皆実』でした。観客である事なんてすっかり忘れて、本当に『そこに生きていた皆実』の存在を他の登場人物と一緒になって受け止めてしまいます。だから一層、彼女を囲む人々の一人になった気持ちで心が締め付けられます。それはそれはたまらないほどの息苦しさと虚しさを感じます。どうにも処理しきれない感情の波が滂沱の涙となってあふれます。これはもう止められません。
『七波』を演じた田中麗奈さんのゴエモン(初代・笑)ぶりも的確で、最後のカットは原作に無い演出であるにも関わらず、それは見事な構成で、心が震えた思いでした。
そしてふたりの間の距離を埋める(つなぐ)『京花』。決して有名な女優さんではないです。しかし、観客として、ファンとして、その演技を見ていて心に浮かんだ言葉があります。
『生きとってくれてありがとう』
この映画のすべてを語るこの台詞を、僕は京花にも言ってあげたくなりました。だって彼女がいてくれなかったら七波は生まれてこなかった。七波は、彼女を母として選ぶことはできなかった……
それと、音楽が素晴らしかった!数日前にサントラを手に入れていたんだけど、公式サイトで聴けたハープの曲も入っていて、音楽だけでもゴハン三杯はいけます(変な表現ですみません・笑)。
いやぁ、しかしですね、とにかく素晴らしいの一言に尽きる映画でした。
試写会の終わりに起こった拍手は、もちろん観客全員の心に響いた映画であった証でしょう。しかし、そのうちの何割かは、原作ファンたちの、『見事にまとめてくれてありがとう!』という感謝の気持ちも込められていたと、僕は思います。
日本人なら必ず観て欲しい映画です。単純に原爆を否定するだけの作品ではありません。戦争は嫌だとか言う映画ではありません。日本史とか世界史とか、そんな教科書めいたものではないです。むしろそれらよりももっともっと大切なことを、心の底の方から揺さぶられて気付かされるという、そういう映画です。
皆さん、この夏はぜひともご覧になって下さい。絶対損はしません。
岬が保証します!(マジ!!)
絶対みるよ!!!!
あー待ち遠しいっっっっ
投稿情報: 皇帝ペンギン | 2007年7 月14日 (土) 午後 09時58分
岬さ~ん
ごちそうさまでした!久しぶりにジョナったねぇ~美味しかったです☆(ペンギンがいなかったのが残念)
作品に関しては、ジョナミーティングしたのでコメントは控えさせていただきます。
明日(今日になっちった)のニューヨーク~成田便がキャンセルになっちまったぜぃ・・・台風嫌い(T_T)
投稿情報: アロハな海賊 | 2007年7 月15日 (日) 午前 01時19分
ありがとうございました!でもって、お疲れ様でした!お互い鼻水すすって大変だったねぇ~(笑)。
そうかぁ、飛行機止まったか。明日以降もちょっと難しいかな?それとも明日の夜には通過してくれるかな?
上陸してしまえば速いんだけどね~。
投稿情報: 岬 | 2007年7 月15日 (日) 午前 01時39分